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Lee-Byung-hun addicted

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第13話

『I'll dream of you again』 scene13



「ヒョン・・・水臭いな。日本に来てるなら声かけてくれればいいのに・・」
彰介は牛丼をほおばりながら不満そうにそういった。
「相変わらず・・・・気が利かないね。」揺は三人分のお茶を注ぎながら言った。
「え?何か言った?」
「いや」そう言ってお茶を差し出す揺。
「ヒョン、どう?映画は。満足いくのが撮れた?」
「まあな。いい出来だと思うよ。」ビョンホンはそう答えると苦笑いしながら彰介を見た。
「何?ヒョン」
「いや、お前はいつも元気そうだなぁ~と思って。そうだ。ウナさんと結婚決まったんだって?」
「えっ?何で知ってるの?俺の口から報告しようと思ってたのに。え、おかげ様でお先にゴールインっすよ。」
彰介はちょっと照れながらそういった。
ビョンホンはチラッと揺を見た。揺は黙って微笑みながら話を聞きテーブルを拭いている。
「で、結婚はいつ?」
「クリスマスにしようと思ってるんだ。もちろんヒョンも揺も来てくれるよね。縁結びの神なんだから。」彰介は嬉しそうに言った。
「ああ、もちろん。ねえ、揺」ビョンホンは揺にそう話しかけた。
「うん?もちろん。ブーケは私がもらわないと」
揺はそう言ってチラッとビョンホンを見た。
目が合った二人は意味ありげに微笑む。
「揺・・お代わりある?」
そんな彰介の言葉が二人の邪魔をした。
「あ・・・うん。あるよ。」
「でさぁ・・・・」彰介は一生懸命結婚式の準備の苦労話やウナとのことについて話していた。
「ヒョン、ちょっとちゃんと聞いてる?」
「ああ、聞いてるよ。大変そうだね。それで?」
ビョンホンは聞き返しながら目線はずっと揺を見ている。
「揺、ちょっと聞いてるのかよ。」
「えっ、聞いてるよ。ああ。。そういうことって意外と面倒だよね・・・」
「本当に聞いてるのかよ・・・。」彰介は二人の顔を見比べながら呆れたようにつぶやいた。
「えっ、聞いてるって」声を合わせて答える二人。
「わかったよ。どうせ邪魔者だよ。」
「そんなこと・・・・・あるけど。」ビョンホンはそういうとニヤッと笑った。
「はいはい。退散しますよ・・って言いたいところだけどそうはいかないんだ。」
彰介はそういうとニヤッと笑った。


「でさぁ~。何で私たちが彰介たちの結婚式の式場の下見につきあわないといけないわけ。」
揺が後部座席で不満そうにつぶやいた。
「だって一人で回っててもつまらないから。空港まで送ってくからさ。そう言わずに付き合ってよ。」
「そういうのはウナさんと回るんじゃないの?」ビョンホンが訊ねる。
「え~。全部二人で回ってるときりがないからさ。ここぞと思ったところだけピックアップして彼女と回ろうと思ってリストアップ中なんだ。」彰介は嬉しそうに言った。
「なるほどね。そういうところ妙にまめだよね・・・」と揺。
「いいじゃん、参考のためにいろいろ見ておくのも。ヒョンたちだって近いうちに結婚するんだろ?」
そう彰介が問いかける。
「ん?どうかなぁ~。彼次第じゃない?」
「何言ってるんだよ。揺がうんって言わないくせに」
「そうだったっけ。」
「そうだよ。俺は今日結婚してもいいくらいだ」
ビョンホンはちょっとふてくされた顔をしてそういった。
「あら、だったら今日しちゃう?」揺はそういうとゲラゲラと笑った。

「さ、着いたよ。」
彰介が案内したのは河田町にある旧小笠原伯爵邸。現在はウエディングのできるレストランとして人気が高い。築75年のスパニッシュ様式の洋館が綺麗に復元され、時を越えて優雅に佇んでいた。
「あ・・ここ噂には聞いたことがあるけど・・・ちょっとすごいね。」
揺が門を眺めながら息を呑んだ。
「うん。建物はなかなかいいね。」彰介は満足げに見回しながら中へ入っていく。
ビョンホンと揺もそれに続いた。
「あ、お待ちしてました。久遠寺様。」
「そちらは・・」
「僕の大切な友人なので一緒にかまわないですよね。」
彰介の話しぶりは相手が断ることをためらうのに充分だった。
顔を見合わせるビョンホンと揺。
「ええ・・もちろんです。お入りください。」

彰介が担当者に細かな質問をしている間、揺とビョンホンは1000坪はあろうかと思われる邸内を手を繋いでのんびり散策していた。
「なかなかいいデートコースね。建物もお庭もとっても雰囲気いいし。」
「ああ、あいつにしたら気が利いているかもな。」ビョンホンはそういうとケラケラと笑った。
「ねぇ、揺・・」歩きながらビョンホンが話しかける。
「ん?」
「前から言おうと思ってたんだけどさ・・・」ビョンホンが真剣な顔をしてうつむきながら言った。
「えっ、何?」そのようすに不安げに訊ねる揺。
「お前・・・お尻の形綺麗だよな」
「はぁ?」
「胸もまあ、小さいけどこう・・・いい感じだし。お尻はもっとキュッとしてて・・」
彼は嬉しそうにそういうと揺のお尻を左手で愛おしそうに撫でた。
「真剣な顔で何言い出すかと思えば・・・もう。」揺は呆れたように笑うと彼に手を差し出した。
「何?」
「一回100円」
「え、くれるの?」とビョンホン。
「私がもらうのよ。もう・・」そう言い合い二人はゲラゲラと笑った。

そんな他愛もない冗談を言いながら二階に上がった二人はルーフガーデンのベンチに座り既に暮れかかった秋色の空を見上げる。
「ねえ、揺。」
「ん?」
「君はどんな結婚式がしたいの?」
「えっ?何よ。急に・・・。さてはさっき言ったこと本気にした?今日は結婚しないよ。」
揺はそういうとケラケラと笑った。
「そんなのわかってるよ。でもさ、今後の参考に聞いておこうと思って。俺も彰介みたいに下見しておかないと。」とビョンホン。
「忙しいくせに」揺はそういうと横目でビョンホンを眺めた。
「忙しくたって・・それは別問題だ。何とでもするさ。」ビョンホンは自信満々に答えた。
「そう。じゃあねぇ・・・私がしたい結婚式はね。・・・フランスの片田舎の名前もないようなちっちゃな教会で丸顔ではげてるちっちゃい可愛い牧師さんに見守ってもらって二人っきりで挙げるのがいいわね。家族やお友達にはあとでソウルの美味しい料理屋さんで食べきれないほどの山のようなご馳走を出してもらってパーティーを開くっていうのはどう?もちろん私もあなたも一緒に美味しいものいっぱい食べるのよ。」そう話す揺はとても嬉しそうだった。
「自分達もおなかいっぱい食べるっていうところがいかにも揺らしいね。」
ビョンホンはそういいゲラゲラと笑った。
「だって、皆が美味しそうに食べてるのを自分が食べずにひな壇で見てるのなんて絶対にいやだもの。美味しいものはみんなで味わわないと。」
「なんだ、ただ食いしん坊なだけじゃん。」笑いながら彼が言った。
「そんなことないわよ。実は教会だって・・・目つけてあるんだ。」揺はちょっと悪戯っぽく微笑んでそういった。
「えっ、どこだよ。」
「えっ、だから名前がわからないんだって。」揺はそういってビョンホンを見ると悪戯っぽく笑った。
「じゃ、名前もわからないようなちっちゃな教会探しておくよ。見つかったら式を挙げる。わかった?」そういって揺の顔を覗き込むビョンホン。
「うん。見つかったらね。」揺はそう答え彼の頬にキスをした。
二人が見つめあって微笑んで入ると遠くから彰介の呼ぶ声がする。
「あ・・・忘れてた・・・」

「全く・・・俺一人置き去りにして。何のために連れてきたんだか。」
彰介はブツブツとそうつぶやきながらテーブルのコーヒーを一口飲んだ。
「おまけにどうして俺はコーヒーでヒョンたちはシャンパンとか飲んでるわけ?」
「だって。それはねぇ?」と揺はビョンホンにさじを投げた。
「ああ。味見してやってるんじゃん。当日のために。で、どんな感じだった?」ビョンホンはニヤニヤ笑いながら訊ねた。
「うん。料理もスペイン料理で変わってるし悪くないんだけど。ちょっと狭いな。」
「お前何人呼ぶんだよ。」呆れたようにビョンホンが訊ねた。
「う~~ん。150から200ってとこかな。」
「それじゃ、狭いんじゃない?」揺が心配そうに言った。
「でもさぁ・・ホテルの宴会場とかって嫌なんだよね。・・・」と彰介。
「じゃ、招待客減らすとか・・二回に分けるとか・・・考えたら。」面倒くさそうに揺が言った。
「何だか無責任だな。」彰介が不満げに言う。
「そうよ。所詮人の結婚式だもの。ねえ、ビョンホンssi。」
ビョンホンはただクスクスと笑っていた。
「この薄情者。いいよ。後はウナさんと相談する。まあ、ここは有力候補のひとつってところかな。」彰介は諦めた感じでそう吐き捨てるようにいい冷めたコーヒーをつまらなそうに飲んだ。
「本当はね。先越されたから悔しくて・・。相談になんか乗る気にならないのよ。」揺はけろっとした顔でそういうとバックを持って化粧室に向かった。
「ヒョン・・・どうなってるの?やっぱあいつ結婚したいんだよな」
彰介は不思議そうにそう訊ねた。
「俺にもわからない・・・一体何考えてるんだか。」
廊下の先を颯爽と歩く揺の後姿を男二人は揃って見送った。


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